2019年4月██日 21:13


(サイト-5131、概念系ラボ内で1人、神妙な面持ちでPCの画面に向かう加藤博士。)

今から私の身に何が起こるかわからない...よってこの記録を残す事とする。

(加藤博士が震える手でマウスを操作する。)

私は…気付いてしまった。我々は……奴らに踊らされているだけだ。よくよく考えてもみろ、当たり前ではないか。我々の認識の対象はあくまで我々が認識できるものだけなのだ...。

(タイピングの音)

今から奴らをSCP-XXX-JPと登録し...クソ、酷く悪寒がする...。奴らは私を見ている。今も過去も未来も…。オブジェクトクラスは...Keter。

(タイピングの音)

特別収容プロトコル…ハハ、収容できるわけがない…。

(タイピングの音)

奴らは...そうだな……間違いなく生命体だ。…早く、早く書き上げろ。早く………ヒィ!!

(加藤博士が画面から目を逸らした直後、虚空に向かって小さい悲鳴を上げる。)

何だお前らは…!!……そうか、お前らがSCP-XXX-JPだな……?

(画面に向き直る。)

…奴らは…流動的にサイズを変えている。どいつもこいつも手足やら体節やらが出鱈目だ。醜悪な……まずい!

(タイピングの音が止む。呆然とする。)

……どうやらいつの間にやら吸ってしまったようだ。SCP-1236-JPを。もう私は………。おい、私を見るな。見るな。そんな下卑た笑顔で私を見るな。

(ラボ内を浮遊し始める加藤博士。以後、加藤博士の体躯、音声が共に減滅していく。)

冗談だろ。私の体が浮き始めた。キーボード…書けない、クソ。…おいおいSCP-XXX-JP、お前たちはそんなにもいたのか。まるで部屋を埋め尽くさんばかりじゃないか。

…私の手足が歪んでいく。

やめろ、皆して笑うんじゃない。

そのわけのわからない手をどけろ。

(希薄化が進む加藤博士。)

待て。待て。
私は壁にはなりたくない。
PCにはなりたくない。
ペンにはなりたくない。
デスクにはなりたくない。
廃気口にはなりたくない。
海にも文字にもカラスにも駅にも星にもだ…。
お前たちのようには。
お前たちとともには。
誰か…誰か私を見てくれ。
誰か……。

ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘。
ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘ま‘‘。

(満面の笑顔を最後に加藤博士は完全に消滅。以後、静寂な映像が約30分続くが、映像の最後に1人の財団職員がラボ内に現れ、PCの画面を暫く眺めたのち、涙する。)

すみません、加藤先生。貴方の背中を追うのを止めます。貴方の知能はいささか超越的過ぎた。コイツは貴方もろとも隠蔽させて頂きます。

(映像終了)